読んだ本

はじめまして数学〈1〉自然数を追え、無限を掴まえろ! (幻冬舎文庫)

はじめまして数学〈1〉自然数を追え、無限を掴まえろ! (幻冬舎文庫)

感想

面白過ぎる本。この本を読んだだけで数学の魔力にとりつかれそうになりました。特にこの本のハイライトである素数の不思議さ。

エラトステネスのふるい法
まず,数を並べて表の形に書きます。これが”ふるいに掛ける数”になります。ここでは,1から100までの数を書くことにします。
1は約数を1しか持たず,素数とは言えませんから上から「×印」を書いて消します。
次の数は2ですが,これは素数であることを既に確かめましたので,これを残して,2の倍数である4,6,8・・・,すなわち偶数を順に消していきます。この作業は,2の倍数が1つおきに現れることから機械的に実行できますね。
続いて3に注目すると,やはりこれも素数ですから,今度は2つおきに登場する6,9,12,・・・を消します。このときはすでに6,12などは2の倍数として消されていますが,気にせずどんどん「×印」を書き加えていってください。この方法は,あまり考えなくてもできることが好い点です。
まったく同様に5を残して5の倍数0,15,20・・・続く素数7の倍数14,21,28,・・・を消し,これで消去作業は終了します。実は100までの素数を求めるには,7までの倍数を消去すれば十分であることが証明されています。これで残った数はすべて素数となったわけです。(これはつぎの素数11で割られる数がすでに表の中に残っていないことから分かります。)
結局,100までにある素数は,次の25個
2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97
であることがわかりました。
皆さんも数の範囲をもっと広げて「素数探し」を続けてください。範囲を広がれば広がるほど,滅多に素数には出会えなくなりますが,それでも必ずありますから安心して調べてください。
しかし,もっと簡単に次から次へと「素数」を生み出す式はないのでしょうか。残念ながら,限りなく存在する素数を”具体的に順序よく求める方法”はまだ発見されていません。その意味で「エラトステネスのふるい法」は計算機の発達した今日でもなお”現役の方法”として使われているわけです p119-120

双子素数
巨大素数も大変興味あるものですが,素数を並びをみますと,
3,5,7
11,13
17,19
29,31
とその間が2しか離れていない素数の組があります。素数通しの間隔は,数が大きくなるに従って,次第に離ればなれになっていきますから,隣どおしの奇数が共に素数になることは,そう滅多にあるものではありません。
そこで,これらの数の組は「双子素数」と名付けられ,大いに調べられているのです。実際に素数それ自信は無限に存在しますが,双子素数は限りなく存在するものかどうかわかっていないのです。現在知られているもっとも大きい双子素数の組は

318032361 * (2^107001) - 1,
318032361 * (2^107001) + 1,

です。計算機が誰にでもつかえるようになったいま,大きな素数を具体的に求めることは,数学の研究という狭い枠を超えて,マニアのゲームのようになってきました。皆さんも5年後か10年後ぐらいには,このとても面白いゲームに参加できるかもしれません。(残念ながらこうした世界記録を狙うには,大型高速の計算機を十分に使えるだけの”参加資格”が必要です)