読んだ本

JRはなぜ変われたか

JRはなぜ変われたか

目次

はじめに
序章 JR東日本の誕生まで
第1章 ハードもソフトも,すぐに大転換
第2章 列車サービスの改善
第3章 まず安全,そして近代化とデザインの革新をめざして
第4章 談合と天下りとの決別をめざして
第5章 技術をインソーシング化する
第6章 駅ナカSuica革命
終章 これからのJR東日本

感想・興味をひいた所

その後間もなく,予想もしていなかった大きな問題が起きた。ある国際的なIT装置の大手メーカーの幹部が数人,私に面会を求めてきた。早速お目にかかると,フランス人の副社長が口火を切って,「JR東日本ソニーと共同で非接触ICカード乗車券の導入に踏み切ったそうだが,ソニー1社とだけこのプロジェクトを進めるのは国際ルールに反する。もしこのまま強行するならWTOに提訴する」という。
(中略)
「当社はこの問題に対しては完全にオープンです。問題とするのは品質と価格だけ。優れた商品があれば,いつでもどの企業からでも採用します」と答えた。
(中略)
ただ,こう言い加えた。「当社は1日に1600万人のお客様の利用があります。従って,非常に高いレベルの信頼性と情報処理機能を持った製品でなければお受けできません」p254-255

Suicaの開発物語はプロジェクトXでも取り上げられたことがあるくらい大変なものでしたが,こんな国際的な圧力があったのですね。この後,ISO規格になっていないとか,グズグズ文句を言われたそうですが,JRはユーザー本位の立場で突っぱねることができたそうで,民営化すればこんな所の意識も変わることが良く理解できました。