読んだ本

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

目次

感想&引用メモ

陸軍省は日露開戦の可能性を眼前に控えて,反軍思想が出るのを最も恐れたようであった。この事件が,軍に対する国民の不信感情を煽ることになってはならないと考えたようであった。軍は,この事件を基にして遭難美談集を作ろうとした。(中略)
だが,国民はその美談集にはそう簡単にはとびつかなかった。国民は百九十九名の凍死という悲惨な結果に眼をやった。職業軍人の死よりも一般の下士卒の死を悼んだ。p290