読んだ本

そうだったのか! 現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)

そうだったのか! 現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)

感想

池上さんの本はいつ読んでも読みやすいです。現代史が良く理解することができました。

台湾は日本の植民地だった
(中略)
日本の台湾支配は,警察力による強権政治だった一方で,産業の発展の基礎も築きました。全島に道路や鉄道,港湾を整備しました。農地も整備したことで,台湾の産業は大きく発展しました。義務教育制度を導入することで,読み書きできる人の数も飛躍的に増大しました。
(中略)
日本語はかえって,台湾人が近代的知識を吸収するための道具となり,台湾社会の近代化を促進したのである。p93

三八度線で戦線膠着
(中略)
この状態に業を煮やした国連軍司令官のマッカーサーは,中国に対する原爆の使用の許可を求めます。しかし,広島,長崎で多大な被害を出した原爆は,もはや気軽に使える武器ではありませんでした。
このマッカーサーの考えをおそれたアメリカのトルーマン大統領は一九五一年四月,マッカーサーを解任します。
(中略)
太平洋戦争で日本軍を打ち負かした英雄マッカーサーは,「老兵は死なず,ただ消え去るのみ」という名文句を残して去りました。p130

アメリカにとって,田んぼに広がる稲穂は,ただの草だったでしょうか。見渡す限り平らに広がる草原だったら,戦車で草をなぎ倒すのも快感だったでしょう。
しかし,それは稲でした。
私たちアジア人がもっとも大切にしているものです。
そんな思いも知らないまま軍隊をいくら送り込んでも,現地の人々の支持を得ることはできません。
「この戦争,結局はアメリカが負けるだろう」
私はそう思ったのです。 p212

ベトナムの侵攻は許されるのか
(中略)
もしベトナムが(カンボジアに)侵攻しなければ,罪のないカンボジア人が(ポル・ポトに),さらに大量に殺されていたでしょう。ベトナムは,大量殺人を未然に防止したということもできるのです。
(中略)
これは後に「ある国の内部で反人道的行為が大規模に行われている場合,国際社会は人道的介入が許される」という理論に道を開くことになります。旧ユーゴスラビアでの内戦にNATO軍が介入する根拠になったのです。p269