読んだ本
- 作者: 山田克哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/21
- メディア: 新書
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感想
天然ウランは99.3%がウラン238で占められ,残りの僅か0.7%がウラン235である。爆弾に使えるのはウラン235のほうだ。したがってウランで爆弾を作るにはウラン235を100%近くまで濃縮せねばならない。ウラン濃縮装置の建設だけで費用がかさむが,濃縮するプロセスにも金がかかる。なぜ金がかかるか?
ウラン235もウラン238も同じ物質だから,どちらも化学的性質はまったく同じであり,化学的には識別できない。だから重さの違いを利用して選別するしかない。しかし重さの違いといったってほんの僅かである。核の重さは質量数に比例するから質量数の比を取ってみると238/235=1.013とほとんど1に近い。2つの重さはほとんど等しいのだ。
(中略)
100%濃縮されたウラン235を作るのが難しいことは容易に想像がつくだろう。技術的に困難が伴うということは,そのまま高い費用に結びつく。ウラン爆弾はウランを100%近くまで濃縮しなければならないので,結局「材料入手困難」となり,簡単には作れないのだ。
p146-147