読んだ本

売れる理由 (小学館文庫)

売れる理由 (小学館文庫)

感想・興味をひいた所

一般にはあまり知られていないが,日本の市販納豆の8〜9割は,同じ納豆菌から作られている。納豆メーカー720社のうち,菌を独自に開発しているのは大手の一部のみだ。日本は納豆菌メーカーが3社あり,中でもある1社の菌が普及した。フレシアでもこの菌を使っているが,他社と同じ菌を使う限り,できた納豆の根本的な差別化は難しい。
8〜9割の納豆で使われている菌を作っているのは仙台市の宮城野納豆製造所という会社である。この「宮城野菌」について少し説明しておく。「宮城野菌」を開発したのは,宮城野納豆製造所の創始者三浦二郎(1886〜1972年)だ。三浦は納豆製造の近代化に大きく貢献した人物だった。宮城野菌登場以前は,納豆はわらで煮た大豆をくるみ,わらに付いている納豆菌を繁殖させて作っていた。しかし時には不衛生な納豆が原因で,死者が出ることも珍しくなかった。何とか納豆を清潔に作る方法がないかと考えたのが三浦である。極東練乳に勤めていて北海道にいた三浦は,納豆菌のわらからの分離に成功した北海道大学の教授と知り合い,その菌を実際の性能にどう活用するかに取り組んだ。p261

納豆製造に欠かせない菌は,ほぼ1社が製造しているとは知りませんでした。