読んだ本

乗る旅・読む旅 (角川文庫)

乗る旅・読む旅 (角川文庫)

感想&引用メモ

かように線路の状態は,乗心地,輸送効率,さらには安全と深くかかわっているのだか,一般の人びとは,線路保守の重要性と苦労について,ほとんど理解していない。
鉄道の関係者がボヤく。
「航空会社がうらやましい。空港の使用料さえ払えばよいのだから。船も同様」
さらには
「自動車がうらやましい。道路の整備は国や県がやってくれる。保守の苦労も経費もゼロですよ。災害の復旧もひと任せだ」
ともいう。
とにかく線路保守という地味な作業は,鉄道業に負わされた重荷なのだ。
しかるに,線路保守の重要さについて人びとの理解は乏しい。ひとつには,二本のレールというがっしりとした構造物が,恒久性というか不滅というか,そうした印象をあたえるからであろう。p205