読んだ本

マルチメディア (岩波新書)

マルチメディア (岩波新書)

感想

10年以上の前に出版された本で,学者が考えるマルチメディアの世界が現在と対比したときに,どんな風に考えられていたのかが面白く感じた。

つまりパソコンとは,中央権力のツールである汎用大型機に対抗する「人民のためのコンピュータ」「開放ののツール」として歴史に登場したのだ。これを支えるのはリベラルな個人が各自の思考能力を向上させ,平和で民主的な社会をきずいていく,というあの(なつかしき)ヒッピーの思想なのである。
だからそされ当然,麻薬や神秘主義ともむすびついていく。
LSDもパソコンも,脳の神秘的な構造をさぐる”サイバーなツールとして捉えられた。
p73

いまマルチメディアの研究では「感性情報処理」がとなえられ,「身体とマッチするヒューマン・インターフェース」の重要性が叫ばれている。けれども,率直にいって,そこでいわれる<感性>や<身体>とは右にのべたアメリカ文化的・ハイパーメディア的な思考スタイルかた抜け出していないものが多い
p87