読んだ本

テレビの21世紀 (岩波新書)

テレビの21世紀 (岩波新書)

感想・興味を引くところ

NHK・BSの本放送が始まると,いろいろな問題が明らかになってきた。その一つは,衛星波が韓国・中国など近隣諸国をもカバーしてしまうという現象,スピルオーバーが国際問題となったことだ。
NHKのBSは国内放送というタテマエだから,その電波が近隣諸国に侵入することは電波による主権侵害,文化侵略である,と韓国などは特に強い抗議を寄せてきた。日本側は,その対策に頭を悩まし,衛星が次の世代のものに交替する時,発信アンテナに指向性を持たせたり,出力を調整するなどの技術的処置に追われることになる。ヨーロッパなどでは,同じ時期,80年代末から90年代はじめにかけて,衛星放送が本格的に開始するが,最初からボーダレス放送,パン・ヨーロッパ放送として構想され,ボーダレス・テレビのためのEC指令が採択されたことと比較されよう。p94

山梨県の隣の長野県をCATVの先進地域だ。信濃の国・長野は,南北に長く,しかも,いくつかの山脈で分断され,県庁所在地の長野と周辺(北信),松本と諏訪地方(中信),飯田などの伊那谷地域(南信)などに別れ,各地に市民新聞が発達するなど,それぞれの地域に特性がある。山岳地帯で,周辺からの電波の流入が少ないことなどが,民放他局化の遅れとともに,CATVの成長にプラスしたと考えられる。p110