読んだ本

理不尽な気象 (講談社+α新書)

理不尽な気象 (講談社+α新書)

感想・興味をひいた所

夏へと移り変わる時期は,チベット高原など大陸では空気が暖められ,相対的に湿度が低い海(インド洋)から湿った空気の流れ,いわゆるモンスーンが強まります。モンスーンは山脈や高原の衝立に阻まれると同時に,地球の自転の影響も加わり東アジア方面に向かいます。
また衝立の北側を回り込んだ偏西風も東アジア方面に南下,南から湿った空気(モンスーン)との間に停滞性の前線を作り出します。これが,いわゆる私たちにお馴染みの「梅雨前線」です。

「ヒマラヤがなかった場合の降水量シミュレーション」によると,夏場のモンスーンによる降水量はインド周辺で大幅に減少します。また,日本の梅雨もはっきりしなくなり,おそらく毎年のように水不足に見舞われることでしょう。そもそも,これだけの人口を支える気候になり得なかったかもしれません。
また冬場は大陸と日本東海上との気圧差が小さくなり,冬型の気圧配置が成立しにくい,つまり日本付近ではあまり寒くならず,日本海側の降水量も小さくなります。これは現在よりもずいぶん四季のメリハリが乏しい気候だと言えます。pp42-43

日本に四季があるのはヒマラヤのおかげなんですね。ヒマラヤに感謝ですね。

実は,天気予報の世界では,この暗黙知がとても重要なのです。大気は流動体なので,今ある状態が,どのように変化していくのかは最後まで分かりません。マニュアル通りには動かず,完全に予測することが不可能なカオスの世界です。「どんなに似た天気図でも,まったく同じものは1枚たりともない」といわれる所以です。pp174

私の気象に魅力を感じることの1つがこれです。決して的確に天気を予測することは出来ない不思議な世界に魅力を感じるのです。