読んだ本

こわくない物理学―物質・宇宙・生命 (新潮文庫)

こわくない物理学―物質・宇宙・生命 (新潮文庫)

感想・興味をひいた所

われわれ個人の肉体はわれわれ個人のものではない。われわれの肉体はわれわれの私物ではない。子供は両親の所有物ではない。およそ40億年間にわたる生命活動の積み重ねの結果が現在の”われわれ”である。だからこそ,われわれの生命も他人の生命も,他の生物の生命も大切にしなければならないのである。例えば,一つの生命,一人の人間を殺すことは,そこに至る約40億年の生命の積み重ねを殺すことである。約40億年にわたる生命の歴史の幕を閉じさせることである。
また,子孫を遺す限り,”われわれ”の生命は不治である。p213

物理の本なのに生命の記述が書かれているのは,生命も物体であり物体の根源は物質であることから。本書は哲学的な記述が多いのですが,物理は物質の本質を探る学問だからこそ,哲学や生命のことを書きたかったのかもしれません。